まず最初にするべきなのが契約書の確認
住居を賃貸している人が亡くなった場合、賃貸契約はどうなるのでしょうか?実はお部屋の賃貸借契約は契約者が亡くなっても解約とはならず「相続人に権利が引き継がれる」のです。相続人が複数いる場合は、共有となります。
借りている人が亡くなったからといって契約が当然に終了するわけではないので、その後の賃料は相続人に支払い義務があり、亡くなる前に滞納していた家賃などの支払い義務も生じます。まずはその点をふまえて行動を起こしましょう。
契約書で確認すべき内容は期間内の契約解除に関する条項や違約金、原状回復義務の部分が主となります。よく読んで、契約解除に取り掛かりましょう。もし契約書が見つからなければ大家さんか管理会社に連絡して確認を取りましょう。
賃貸契約の内容はその物件ごとに違い、さまざまな特約がついている場合もあります。場合によっては違約金の定めがあったり、退去時に支払うことが義務づけられている費用があるため、しっかり確認して退去費用の算段をしておきましょう。
また敷金に関しても規約がある場合があります。敷金は、入居時に預ける「保証金」のようなものなので、解約後の清算によって戻って来ることもあります。この点もチェックしておきましょう。
また、家賃は退去した日までの分を日割り計算で算出し、請求されることが多いためなるべく早く解約・引き渡しを済ませるとかかる費用を抑えることができます。遠方に住んでいて片付けができない場合は遺品整理業者に依頼して一気に片づけてしまうのがおすすめです。
相続放棄をするなら注意
遺品整理を行う前に、確認しておきたいことがまだあります。それは「自分が相続をするかどうか」ということです。
たとえば亡くなった家族にかなりの額の借金があった場合。このままだと相続人が返済の義務を負わなければならない、となった時に「相続放棄」をすると返済を免れることができます。この場合、プラスの遺産もマイナスの遺産も、全ての遺産を放棄するということになります。
相続放棄の手続きを行う前に遺品を処分したり、遺品を買い取ってもらうなどすると「単純承認」した(遺産を相続するということを認めた)とみなされることがあり、以降相続放棄ができなくなる可能性があるため注意が必要です。
※あきらかに「ごみ」として処分できるようなものは問題になりません。
相続放棄ができるのは、「相続の開始があったことを知った日から3か月」の間です。この期間を過ぎると原則「相続を承認した」ということになり、遺産も相続しますが借金などの負債も相続することとなりますので注意が必要です。
退去する旨を伝え、退去日を決めておく
管理会社もしくは大家さんに亡くなったことを伝え、退去手続きをします。だいたいは退去した日までの分の家賃を日割りで払うことが多いですが、退去は月末となっている物件もあります。それに合わせて遺品整理・清掃などを行わなければならないので、できれば遺品整理や清掃の算段を先にしておいて、決まってから退去日を確定するとスムーズなやりとりができます。
お部屋の中で亡くなったのでなければ、清掃はごく一般のお掃除でいいと思いますが、部屋の中で亡くなった場合は特殊清掃が必要となる場合も出てきます。発見するまで時間がかかった場合、遺体による臭いや汚れが部屋についてしまうことがあるからです。その点についても必ず話し合っておき、こちらが負担しなければならない範囲などを聞いておくことが大切です。その場合、清掃にも時間を要するため、退去日まで日数が必要となるかもしれません。
原状回復義務について
お部屋を賃貸していた場合、退去する際に原状回復義務(借りる前の状態に戻す)があります。これも相続人が負うこととなるため、入居者の不注意で破損した部分の修繕費用などは請求されることとなります。とはいえ、自分で借りていた部屋ではないため、入居時の状況も知らず判断がつきにくいところですが部屋のひどい汚れや壁・床・建具の破損などは請求されても仕方ない部分です。
修理費用については退去後管理会社や大家さんから請求額の提示があり、敷金がある場合はそこから差し引いて残額があれば後日返すことで支払いが終了となります。修理費用が敷金の額を上回る場合はさらに支払いが必要となります。
部屋を引き払うまでの費用まとめ
親の亡くなった賃貸物件を相続人が引き払い、清算するまでにかかる費用には以下のようなものがあります。
◎借りていた部屋に関わるもの
- 退去日までの家賃・管理費・駐車場代等
- 退去時に支払うことが契約で決められている費用(鍵交換費用や清掃料等、契約書に明記されているもの)
- 契約期間内に退去する場合の違約金(定められている場合)
- 現状回復費用(後日請求となることが多い)
◎部屋の片付けに関わるもの
- 遺品整理の作業料金
- 特殊清掃の作業料金(部屋で亡くなって、必要となった場合)
- 入居後、自分で備え付けた設備の撤去費用
◎受け取れるかもしれないお金
- 入居時に収めた敷金
- 遺品を買取してもらった代金
これらの金額が発生するかどうかは、賃貸契約の内容によってそれぞれ違ってきます。かかる費用を概算するのであれば、まずは契約書の内容をしっかり確認して、疑問があれば管理会社や大家さんに聞いてみましょう。
賃貸物件の遺品整理
賃貸で住まわれていた家の遺品整理は、家賃がかかることもあって一軒家に比べるとかなりスピーディに行われることが多いです。当社では、その日の午後見積をして翌日作業したという例も何件かあります。
高齢の親御さんが賃貸物件に一人で暮らしていた場合、相続されるお子さんが遠方に住んでいらっしゃることも多いです。ずっとこっちにいるわけにはいかないため、いろいろな手続きを一気に済ませたいという方が多く、作業もなるべく早くお願いしたいという話になります。お急ぎの場合は、できるだけ対応させていただきますのでまずはご相談ください。
まとめ
賃貸借契約は、その物件によって細かく内容が異なっています。そしてその条件等は入居時に納得して契約したこととなっているため、後から変更したりすることはできません。残された家族としては、その契約にのっとって清算・退去をすることとなります。その他にも煩雑な手続き等いろいろあり大変だと思いますが、早めに取り掛かることをおすすめします。
当社では退去日まで日にちがない、すぐに片づけて欲しいなどのご要望にもお応えしています。お気軽にご相談ください。