街を歩いていて、「あ、ここ空き家だ」と気づくことありませんか?草がぼうぼうに伸びていたり、チラシがポストにたくさん入ったままになっていたり。家の近所に空き家がある、という方も少なくないでしょう。
じわじわと増え続ける「空き家」が、社会問題になっています。ニュースなどで目にしているうちは「早く売ればいいのにね」なんて思っていても、いざ自分に降りかかってくるとそう簡単にはいかないものです。誰も住む人がいなくなったとはいえ、そこは自分が生まれ育った「実家」。思い入れもあることでしょう。
親が亡くなり、誰も住む人のいなくなった家。築数十年たっていて、住むにもそのままでは住めない家。そんな家を相続したら、どうすれば良いのでしょうか。そのベストな選択は、人によって違います。
1.そのままにしておくと何が起きるか
「まだ荷物も残っているし、時間をかけて片付ながらどうするか考えていこう。」一番多いのはこの選択ではないでしょうか。お盆などのまとまった休みを利用して親戚で集まり、どうするか話し合って決めるという話もよく伺います。
当社に来る遺品整理の依頼でも、空き家になってから5年以上たっている、というような例もあります。(固定資産税の安い地方の町などに多いです)費用の工面などの話し合いがうまくいかずそのまま、という事も多いです。
では、空き家を放置しておくと、どんなことが起きてくるでしょうか?誰も手入れをしていないと、次のようなことが起こる可能性があります。
1.冬場の水道凍結・破裂
水落しをきちんとしているつもりでも、管の中や蛇口に残っている水が凍結・破裂を起こしてしまい、水を出したらどこからか水漏れしてくる。火の気のない空き家では、こんなことがよく起きます。当社もよく水回りの修理で空き家を訪ねることが多く、気づくのが遅れて家中水浸しになっている…なんてことも。寒くなると足が遠のきがちになりますが、冬場こそ管理が必要なのが空き家です。
2.木や草が伸びて、隣の敷地に侵入する
木は、手入れしていても毎年伸び続けるため、数年放置すると大変なことになります。雑草も同じで、あっという間にジャングルのようになってしまいます。実家に立派な庭がある、という方は早いうちに手を打っておくことが必要です。伸び放題になってから伐採等を依頼すると費用もかなりかかります。また、虫の発生も起きやすくなるためご近所に迷惑がかかります。
3.ネズミ等が入り込み、家が荒れる
これも空き家に起こりがちなことですが、どこからかネズミが入り込み、押入れの中や部屋の中を走り回り、いたるところフンだらけ…という空き家がよくあります。半年空き家だった家がネズミだらけだったということもありました。こうなると糞尿で家財は汚れてしまい、衛生上かなりよくない状態に。もししばらく空き家のままにしておくなら、対策をしておいた方がいいかもしれません。
4.冬場の屋根の落雪など、雪の問題
北海道の空き家問題で、一番多いのがこのトラブル。「屋根からの雪が落ちてきて自分の家に当たるので雪下ろしをして欲しい」、「通行の妨げになるのできちんと除雪をして欲しい」等ご近所からの要望がいろいろ出てきます。また、積もった雪で窓ガラスが割れたり、水が室内に侵入してすがもれが発生したり。定期的に家を見に行っていても、こうしたトラブルが起こって来る可能性があります。
5.壊れた所があっても目が届かない
台風が来た後、空き家のテレビのアンテナが折れて屋根からぶら下がり、危険な状態になっているので何とかして欲しい、という依頼を受けたことがあります。依頼者は相続人で、離れた場所に住んでいるため目が届かず、空き家のお隣さんからの連絡でわかったとのことでした。このように、家になにかトラブルが起きていても気づかない、気づけないことが多く、隣の方に被害を及ぼしてしまう最悪の事態も考えられます。
このように、空き家にしておくといろいろなリスクがあります。もし「しばらく空き家のままで」とお考えなら、ある程度家のメンテナンスが必要となることを覚悟しておいた方がいいと思います。
2.売却はそのまま?解体してから?
よく「古い家は解体してから売った方がいいですか?」と聞かれることがあります。古いと一言で言っても、その状態は千差万別です。途中何度かリフォームをして、手入れが行き届いてる空き家と、全くリフォームや設備交換をしていない空き家とでは話が違ってきます。「まだ住める」「古民家の味わいがある」などの場合は「古家付きの土地」として売っても売れるかもしれません。これは専門家の意見を聞いてから決める方がいいと思います。もし家のリフォーム履歴がわかるような書類があれば、用意しておくと良いでしょう。
3.家を解体して土地のみ保有する場合
古いしいろいろ問題があるので、家屋は解体してしまって、更地にして保有しようという場合。固定資産税が高くなるので注意が必要です。土地の上に家が建っている場合、固定資産税を決める際に「住宅用地の軽減措置特例」が適用されます。これは住宅を持つ人の負担を少なくするため、200㎡以下の部分の税額を6分の1にするもので、この特例は家がなくなると使えなくなるのです。
放置空き家が増えた原因の一つがこの「特例がなくなり、固定資産税が最大6倍になる」というデメリットなのですが、だからといって家を放置したままにしておくわけにはいきません。2015年に施行された「空き家対策特別措置法」では、倒壊の恐れがあるなど危険があるとして特定空き家等に指定された場合も固定資産税の特例が受けられなくなったのです。
固定資産税は高くなりますが、家がなくなるので空き家にしておくことのリスクは回避できます。また、売る時もすぐに売却に向けて活動が開始できるメリットも。それまでは駐車場などにして活用するという手もありますね。
4.貸家として運用するには
まだじゅうぶんに住める家の場合は、自分で使ったり、貸家として貸し出して大家業を始めるのも良いでしょう。家の修理費や固定資産税を払ってもなお余りある家賃収入が得られることもあります。
家を貸す場合、老朽化が気になる水回り部分だけでもリフォームしておくと、借り手も決まりやすくなります。また貸し出す前に、一度家を見てもらって問題点はないか、補修しておくべき点などを確認すると安心ですね。賃貸した後からでは、水漏れなどの事態が起きた時に借主へ補償しなければならないケースも出てきます。設備のトラブルは、小さなうちに対応するのが鍵です。
5.札幌市には補助制度も
札幌市では、空き家対策として、条件を満たせば利用できる解体工事の補助制度が用意されています。単年度の募集ではありますが、老朽化した空き家でお困りの方は問合せしてみてはいかがでしょうか?
札幌市の空き家対策についてはこちらをクリック
6.困ったらご相談ください!
空き家を相続したら、いろいろ悩むことが出てくると思います。手間と時間をかけても、実家を守っていきたいという判断もあります。いろいろ面倒事が起きる前に整理・売却しようと思うこともあるでしょう。
どれが正しくて、どれが間違っているかという答えはありません。受け継いだ人が、どうしたいか。まずはその気持ちを優先して、方法を考えてみてはいかがでしょうか。
当社が手掛けてきた事例の中にはさまざまな選択をされた方がいます。
- 遺品整理後、実家をリフォームしてご夫婦で暮らしている方
- 片付け~売却まで一気に終わらせて家を手放した方
- 水回りと内装を直したのち、マンションを賃貸している方
- 毎年水落、雪対策などをしながら実家を維持・管理している方
選択に迷ったら、ぜひ一度ご相談ください!たくさんの事例を見ている当社だからこそできるアドバイスを、リフォームや解体、売買の話も含めてさせていただきます。